129:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 02:51:18.86 ID:SYS+AFC90
振り返って丘の下を見ると、お爺さんが空き缶を持って立っていた。
手の中にあるのは、空になったあの缶ビールだ。
「……管理人さん?」
「普段、こんなド田舎の公園に、人など来ませんでな」
ボサボサの髭を撫でながら、お爺さんはニコニコと笑った。
めったに人が来ないというのなら、その缶ビールを捨てたのが目の前のあたしであることも、おおよそ見当が付いているんだろう。
だけど、その人はそれを気に留める様子を見せず、こちらに上ってくる。
「キンモクセイがお気に召しましたか」
あ゛ぁ〜と呻き声を上げながら腰をトントンと叩き、軽く伸びをする。
「ですがすみませんなぁ、キンモクセイの季節は」
「秋」
「えぇ、よくご存じだ」
「教えてくれたんだ……あたしの……」
友達が――。
「あぁ〜〜、夕美ちゃんのお友達でしたか。
それは、ホッホッホ、なるほど、夕美ちゃんに負けず劣らず可愛らしいわけだ」
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