116:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 02:18:22.50 ID:SYS+AFC90
――そうか。
自身の潔白の証明のために大切な人の死を晒し、それを辱めてしまうことを彼女は避けたかったのだ。
だから、あの日に起きたことを夕美ちゃんは黙して語ろうとしなかった。
「志希ちゃん……私、あのね……」
「先生が死んじゃったからアイドルをやる理由が無くなった、なんて言わないで、夕美ちゃん」
あたしは夕美ちゃんの手を握った。
いっそ、あたしの手を払って、恩人の死を軽々しく口にした私の頬をそのまま叩いてくれたらと思った。
でも、夕美ちゃんはあたしを受け入れた。
「夕美ちゃんを陥れたあの子達を、夕美ちゃんが止めなかった理由は分かったよ。ほんのちょっとだけ。
でも……もしあたしがもっとワガママを言うべきだって思ってくれているなら、夕美ちゃん……やっぱり、アイドル続けてよ。
夕美ちゃんにとっての先生と同じくらい、夕美ちゃんはあたしに綺麗な思い出をたくさんくれたんだよ?」
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