一ノ瀬志希「ほころび」
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113:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 02:08:20.09 ID:SYS+AFC90
 小学4年生の遠足の1年前――3年生で初失踪か。
 プロデューサーの話といい、あたしの失踪デビューは世間一般に比べると遅い方だったのかも知れない。

「携帯も持たずに、電車に飛び乗って……どうやって来たのか、まるで覚えてないんだけどね。えへへ。
 どんどん人里を離れていって、少なくなってきた乗客の人達が、一人ぼっちでいる私を不審そうに見てて……
 逃げるように降りたのが、あそこの駅。無人駅だったから、たぶんお金払わないで飛び出しちゃったと思う」

 それにしても、夕美ちゃんは本当に行動力がある。
 小さい頃からそれは変わらなかったらしい。

「トボトボ歩いた先に公園があって、丘の上に座って……お日様も傾いてきて、お腹も空いて……
 先生の言葉が頭の中によぎって、お父さんとお母さんを思い出したの。
 心配しているかな、余計な迷惑をかけちゃったかなって、うずくまって泣いて……そしたら」


「……先生が来た、なんて言わないよね?」
「えへへ、正解ー♪」

 たまたま先生は、その公園の管理人さんと知り合いで、ちょくちょく草木の手入れをしていたのだという。
 夕美ちゃんを見つけた先生も、さぞビックリしただろう。

 あの日あたしを見つけた夕美ちゃんも、それは同じだったのかも知れない。



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