36: ◆XUWJiU1Fxs
2019/04/25(木) 00:57:37.50 ID:cgXM4cARO
「子供の頃は神童だー、とかリストの生まれ変わりだーなんてちやほやされてて、まあ実際コンクールで金賞とったりすることもあったんだけど……そういう人って全国にたくさんいるわけじゃん。気付いたら俺は賞をもらえない、圏外のピアニストになっていた」
高校の時もギリギリまで音大に行こうという気持ちはあったし、ゆかりが言うようにこの街に強い憧憬を抱いていた。両親も裕福でないながら応援してくれていた。
だけどいつしか圏外になった俺は自信をなくして、夢を見ることを諦めていた。ピアノ以外の勉強をろくにしてこなかったから大学受験は本当に苦労したものだ。
現代文小説も音楽も何かを表現するために作られたもの何に、どうしてこうも小説というのは理解しがたいものなのか。今でも本を読むのは、ちょっと苦手だったりする。
37: ◆XUWJiU1Fxs
2019/04/25(木) 00:58:27.67 ID:cgXM4cARO
憧れの街での日々は俺にとってもゆかりにとっても刺激的なものだった。だけど終わりは来るものだ。ウィーンでの集大成となるコンサート当日がやってきた。
街中お祭りモードであちらこちらから音楽が響き渡る。道行く人だけじゃなく、馬車を引く馬たちも心なしか軽やかな足音を刻んでいる。
「どうでしょうか? 浮いてしまったりしませんか?」
38: ◆XUWJiU1Fxs
2019/04/25(木) 00:59:21.81 ID:cgXM4cARO
以上になります。圏外の一線を超えたい……
39:名無しNIPPER[sage]
2019/04/25(木) 12:20:33.47 ID:cn7yF5ADO
乙
とりま、ゆかり嬢と一線を越えたまへ
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