35: ◆XUWJiU1Fxs
2019/04/25(木) 00:55:57.08 ID:cgXM4cARO
カバンを取り戻した俺たちはその足で夕食を取っていた。警察署でカバンの中身を確認したところ、パスポートも財布の中身も無事だったみたいだ。貴重品は肌身離さないようにして、
メロウイエローの2人からもらったお守りはというとフルートケースに結んでいる。なるほど、これなら絶対に見失うことはないよな。落ち着いたピアノの演奏をBGMに今日一日のことを振り返る。
馬車に乗ったりオルガン弾きの美少女にであったり観覧車の中でふるさとを演奏したり。一日目からこんなに濃いならば、最後のステージはどうなることやら。
「あの、プロデューサーさん」
「ん?」
「今日一緒にいて、ずっと気になっていたことがあったんです。プロデューサーさんって……この街に憧れていましたか? もしかしたら、私以上に」
「……バレてたか」
別に隠していたわけでもなかったのだけど、言い当てられると気恥ずかしいな。どうやら俺も大概浮かれていたみたいだ。
「ゆかりには話したことなかったけど……こう見えて俺、昔はピアニスト目指しててさ」
「やっぱり。そんな気はしていました。オルガンを聞いている時もずっと指が空気の鍵盤を叩いていましたから」
「そこまで気付かれていたのかぁ……結構俺のこと、見ているんだね」
「え、いや……その、ずっと見ていたわけじゃないですけど……本当ですよ?」
ゆかりは赤くなった顔をごまかすようにメニュー表で顔を隠す。
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