16: ◆XUWJiU1Fxs
2019/04/25(木) 00:32:45.80 ID:cgXM4cARO
「グリュースゴット、ゆかり」
オーストリア語というものはなく、母国語はドイツ語だ。しかしグーテンタークという挨拶はあまり使わず、グリュースゴットが主流らしい。
元々はカトリック教の「汝に神のご加護がありますように」といった意味だとか。グーテンタークが通じないわけではないけども、カトリック教徒の多いオーストリアではこっちの方が一般的に使われるのだ。
「グリュースゴット、プロデューサーさん」
どちらも日本人だけども気分はオーストリアン。まだ不慣れな発音が互いにおかしくてどちらからともなく笑ってしまう。
「というかなんで俺の部屋に来たのさ」
「その、特に用はなかったのですが……なんとなくです。ダメでしたか?」
少し申し訳なさそうに視線をそらすゆかり。その仕草がいじらしく思える俺は性格が良くないかもしれない。
「いや、そうとは言わないけども。もしかしてちゃんとベッドで寝かせてくれたのもゆかり?」
「はい。ちゃんと布団を被らないと、風邪引いちゃいますから」
「ありがとうな」
自然とゆかりの頭に手が伸びる。
「あっ」
一瞬びっくりしたような顔をするも、すぐにくすぐったそうに目を閉じて受け入れた。
「もう、プロデューサーさん……」
ゆかりは恥ずかしさと満足さを織り交ぜたような表情を浮かべる。仕方がない人ですね、と言いたげな彼女がなんだか愛おしくて撫でる手は止まらなかった。
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