17: ◆XUWJiU1Fxs
2019/04/25(木) 00:33:54.74 ID:cgXM4cARO
『無事ウィーンに着いたんですね』
「ええ、お陰様で」
昼食の用意が出来たようでレストランに行こうとするが、ちひろさんから着いたら連絡するよう言われてたことを思い出したのでゆかりを先に村松さんのいるテーブルにつかせて電話をかける。
といっても特に話す内容はなく、安否報告とあとはお土産は何がいいかくらいの話しかしなかったけど。
「ちひろさん、何か言っておられましたか?」
「んー。お土産はビールがいいってさ」
意外なリクエストな気もするけど、彼女も時には白い泡の中で眠りたい時もあるのだろう。
「ビールというとお隣のチェコやドイツのバイエルンが有名ですが、オーストリアもビールの国として知られているんですよ」
とは村松さんの談。グラスには既に赤褐色の宝石のような液体が泡の冠をかぶっており、焦がした麦の香りが自己主張をする。こんな真昼間からビールを飲めるなんて、なかなかいい身分だ。
「んきゅ、んきゅ……ぷはぁ……うめぇ……」
ビール特有の苦味こそはあるもののスッキリとした味わいで飲みやすく、ついつい飲兵衛になってしまう。
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