23: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:40:26.29 ID:8+PeY8Rzo
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大サビまで歌い終わり、腕の最後の一振りを終えたところでトレーナーは少しの間唖然と口を開け、そして思い出したかのように拍手をし始めた。
「すごい……振り付けまでバッチリ」
「あ、ありがとうございます……」
「素直に驚いた。 すっごく良かった!」
蓮実はホッとした表情でよかった、と一言だけ漏らした。
「今の、ずっと昔のCMソング? どこかで聴いたことあるかも……」
「ご存じでしたか? 洗剤の……」
「だよね、詳しくは知らないけど。 でも、とにかくその歌が大好きだっていうのが伝わってきたわ。 とっても良かった」
「そうですか? なら、良かったです」
どうやら好評だったようで一安心といった心持ち。 少なくとも自分の好みの歌をポジティブに評価してくれる人が、
プロデューサー以外にも居てくれたことだけで口元が思わず綻んでくる。
トレーナーはうんうん、と頷いた後、少し考え込んでいた。
「……初ステージ、本当は最初にやったのが課題曲でもあるんだけれど……カバーなんてのも良さそうね」
「えっ、本当ですか?」
思わぬ言葉。蓮実の驚きと同時に、こもったノック音がレッスン室に響く。
数拍おいて扉を開け姿を見せたのはプロデューサーだった。
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