25: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:26:40.68 ID:DKhbwdqr0
私は自室のベッドに倒れ込み、足をパタパタと叩きつける。行儀が悪いなんて知らない。傷ついた乙女心の前に、行儀なんてものは存在しない。
いっそ、プロデューサーさんのことなんて放っておいて、別の男の人を好きになってしまおうか。そんなことを考えるけど、やっぱり浮かぶのはプロデューサーさんのことばかり。私をからかうときの妙に真面目ぶった顔、仕事先の人と話すときの真剣な顔。そして、私が仕事やライブで上手くいったときに一緒に喜んでくれるあの笑顔。別にイケメンってわけじゃないけれど、一緒に過ごしてきた時間が、プロデューサーさんのことを王子様に変えてしまう。これが、「惚れた弱み」っていうのかな。
26: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:27:33.71 ID:DKhbwdqr0
ブーッ、ブーッ。
ベッド脇に置かれた携帯が着信を教えようと震えている。今の気分からして電話なんて出たくないけれど、杏奈ちゃんからの電話だったら話を聞いてもらえるかな、なんて打算もあって画面をのぞき込む。
発信者の名前はプロデューサーさん。なんで、どうして、プロデューサーさんが?頭の中は急に動き出す。だけど、突然の稼働に脳内の歯車が噛み合ってないから思考は一向にまとまらない。
27: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:28:10.46 ID:DKhbwdqr0
私がこんなに想っていること、知っていますか?
28: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:29:01.42 ID:DKhbwdqr0
プロデューサーさんからの電話に出ないなんて選択肢は私の中にはなくて、結局散らかった頭のままコールに応えた。
「…もしもし」
『いつか、俺のほうからするから、それまで待っていてくれないか』
「…えっと、はい?」
29: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:30:02.02 ID:DKhbwdqr0
女の子はフシギな生き物で、愛や恋が絡むと途端に計算が上手になる。私も、その計算機関は備えられていたようだ。嬉しいきもちとなんだか泣き出したいきもちを隠すために、こんなイジワルなことを言ってしまう。
「いつかっていつですか」
『いつかはいつかだよ』
「なんですか、それ」
30: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:33:00.30 ID:DKhbwdqr0
「私、待ってますから。できるだけ急いでくださいね」
電話の向こうでプロデューサーさんがまいったな、なんて苦笑いしている様子が浮かんだ。
31: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:34:11.13 ID:DKhbwdqr0
本ルートは完結です。
では、ifルートを投稿していきます。
>>18の続きからです。
32: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:35:48.91 ID:DKhbwdqr0
〜ifルート〜
◆◆◆◆◆◆◆
ドクンッ、という音が耳から聞こえた。それは1回じゃ終わってくれなくて。繰り返す心臓の音がうるさくて、意識をハッキリとさせてくれない。高鳴る鼓動を止めたくて、なにか支えてくれるものが欲しくて。俺は百合子の肩に手を置いた。
33: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:36:55.12 ID:DKhbwdqr0
じゃないと、もっと百合子を求めてしまうから。
34: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:37:33.54 ID:DKhbwdqr0
◆◆◆◆◆◆◆◆
自分の部屋に戻って、朦朧とした頭でベッドに倒れ込む。
一瞬ではあったけど、確かに彼のぬくもりを感じた。一瞬ではあったけど、彼の決意を感じた。
35: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/04/10(水) 11:38:39.09 ID:DKhbwdqr0
エッチな下着、つけてたんだけどなぁ。
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