【シャニマスSS】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」
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◆/rHuADhITI
[saga]
2019/04/07(日) 17:56:43.54 ID:khuu0cd90
どのくらい、たったのだろう。
「……灯織か?」
見知った黒い傘と白いコートが、雨の向こう側から現れた。
「ぁ……プロデューサー……」
「何をしてるんだ。こんな道の真ん中で」
私を心配そうに見つめる瞳。そこで、はたと気づいた。これでは誤解されてしまうかもしれないと。
ずぶ濡れと言うほどではないが、私は雨に打たれて頭から爪先まで濡れている。ここで問題になるのは顔と髪。頭髪に染み込んだ雨水が、ようやく額から目元へとこぼれはじめていた。これでは泣いているように見えてしまうかもしれない。
「ち、ちが……! これは、違うんです……!」
慌てて顔全体をハンカチで拭う。そんなせわしない私の言動を、プロデューサーは黙って見つめていた。そして、私の作業を終わりまで見届けてから、優しく言った。
「じゃあ帰ろうか、灯織。事務所で暖かいものでも飲もう」
諭すように告げて。そして、ゆっくりと歩き出す。
ハンカチを丁寧に折りたたんでから、私もプロデューサーの後に続いた。プロデューサーは、私が歩きはじめたのを確認してから、わずかに歩調を速める。いつも通りのスピードになった。
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