【シャニマスSS】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」
1- 20
18: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/04/07(日) 17:56:43.54 ID:khuu0cd90
 どのくらい、たったのだろう。

「……灯織か?」

 見知った黒い傘と白いコートが、雨の向こう側から現れた。

「ぁ……プロデューサー……」

「何をしてるんだ。こんな道の真ん中で」

 私を心配そうに見つめる瞳。そこで、はたと気づいた。これでは誤解されてしまうかもしれないと。

 ずぶ濡れと言うほどではないが、私は雨に打たれて頭から爪先まで濡れている。ここで問題になるのは顔と髪。頭髪に染み込んだ雨水が、ようやく額から目元へとこぼれはじめていた。これでは泣いているように見えてしまうかもしれない。

「ち、ちが……! これは、違うんです……!」

 慌てて顔全体をハンカチで拭う。そんなせわしない私の言動を、プロデューサーは黙って見つめていた。そして、私の作業を終わりまで見届けてから、優しく言った。

「じゃあ帰ろうか、灯織。事務所で暖かいものでも飲もう」

 諭すように告げて。そして、ゆっくりと歩き出す。

 ハンカチを丁寧に折りたたんでから、私もプロデューサーの後に続いた。プロデューサーは、私が歩きはじめたのを確認してから、わずかに歩調を速める。いつも通りのスピードになった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
27Res/32.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice