【シャニマスSS】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」
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14: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/04/07(日) 17:52:00.45 ID:khuu0cd90
 私も、止まれなくなっていた。自らの信じる、救いのような何かに、我武者羅に突き進もうとしている。

 そのために、私と彼女の間にある唯一の交信を。言葉を、紡ごうとする。

「マスク……外す動作が綺麗でした」

 彼女の、静かに息をのむ声が聞こえた。

「つけ、慣れているんですよね」

 今度は、私が断言をする。それ自体を、彼女は否定しなかった。

「そ、それは……風邪とか、花粉症……とか……」

 消え入りそうな彼女の声に、私はうつむきがちに首を横に振る。少なくとも、その二つは違うのだ。

 雨に打たれながらも、彼女はマスクを外していなかった。いかに体調に気を使う人でも、それでは息苦しいはずだ。

 伊達メガネの理由に、彼女は花粉のことを挙げなかった。普段から花粉を気にしている人間なら、そのことに少しでも触れるはずだ。

 だから、つけ慣れている理由は。

「口元を、隠すためですよね」

 そして、彼女は沈黙した。



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