【シャニマスSS】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」
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◆/rHuADhITI
[saga]
2019/04/07(日) 17:52:00.45 ID:khuu0cd90
私も、止まれなくなっていた。自らの信じる、救いのような何かに、我武者羅に突き進もうとしている。
そのために、私と彼女の間にある唯一の交信を。言葉を、紡ごうとする。
「マスク……外す動作が綺麗でした」
彼女の、静かに息をのむ声が聞こえた。
「つけ、慣れているんですよね」
今度は、私が断言をする。それ自体を、彼女は否定しなかった。
「そ、それは……風邪とか、花粉症……とか……」
消え入りそうな彼女の声に、私はうつむきがちに首を横に振る。少なくとも、その二つは違うのだ。
雨に打たれながらも、彼女はマスクを外していなかった。いかに体調に気を使う人でも、それでは息苦しいはずだ。
伊達メガネの理由に、彼女は花粉のことを挙げなかった。普段から花粉を気にしている人間なら、そのことに少しでも触れるはずだ。
だから、つけ慣れている理由は。
「口元を、隠すためですよね」
そして、彼女は沈黙した。
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