5: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:47:35.75 ID:EU7YFYJs0
「夏葉さんはすごいです、……か」
燦々と降り注ぐ陽射しのなか、ぽつりと呟く。
6: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:48:30.56 ID:EU7YFYJs0
そうして迎えた午後の現場だったが、正直なところ、あまり良い出来とはいなかった。
いつもであれば、反省点として捉えられる事柄も、今日は午前中のことがあったからか、単純に失敗に感じてしまう。
良くないループに陥ってしまっている。
7: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:49:43.96 ID:EU7YFYJs0
見間違いではないか、とナンバープレートを確認すると、やはり私のよく知る車──私の担当プロデューサーが運転する社用車であるようだった。
駆け寄り、助手席の窓から車内を覗く。
8: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:51:41.69 ID:EU7YFYJs0
○
それから、他愛もない話を二、三繰り返し、車は事務所へと到着する。
明日の現場のために、と用意しておいた資料などを樹里と智代子からのメッセージを頼りに事務所の中を探し回る。
9: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:52:50.64 ID:EU7YFYJs0
「何かしら」
「本当に何もないんだよな」
10: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:53:29.53 ID:EU7YFYJs0
そんなとき、彼が「よし」と口を開いた。
「スカウトさせてくれないか。いま、ここで」
11: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:54:01.21 ID:EU7YFYJs0
「……スカウトなんて経験がないから、ちょっと照れるな」
ごほんと咳を一つ前置いて、彼が一歩私の方へと進み出る。
12: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:54:46.19 ID:EU7YFYJs0
そうして、しばらくの沈黙が流れ、プロデューサーがわざとらしく笑顔を作った。
「なに感極まってるの」
13: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:55:26.34 ID:EU7YFYJs0
ということは。
「なら、さっきのスカウト、とんだ茶番じゃない!」
14: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:56:03.15 ID:EU7YFYJs0
おわり
16Res/11.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20