10: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:53:29.53 ID:EU7YFYJs0
そんなとき、彼が「よし」と口を開いた。
「スカウトさせてくれないか。いま、ここで」
「え」
「今から、君を、有栖川夏葉を俺にスカウトさせて欲しい」
私が何か口を挟む間もなく、彼はジャケットの内ポケットへと手を入れ、掌サイズの長方形を取り出す。
そこから重々しく、一枚の名刺を引き抜いて、入れ物を再びジャケットへと戻した。
ようやく、ここで私の理解が追い付いていく。
つまり、彼はスカウトを行うつもりなのだ。いま、ここで。
ごくり、という音が響いたが、その音の出所が私の喉からなのか、もしくは彼からなのか、それすら判別がつかなかった。
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