7: ◆CS7uVfQgX.[saga]
2019/03/26(火) 20:50:41.94 ID:jalGf1Kc0
◆◆◆
午前9時15分。
ちょっと早く着きすぎたか。Pは左腕につけられた腕時計で時間を確認しながら心の中で呟いた。まだ来ているはずもないし、構内のコーヒー店で朝食でも済ませようか。そんなことを考えながら歩いていたら、彼女を見つけた。
決して派手な服装ではないが、百合子によく似合っている。人ごみの中で目立つわけではないが、埋もれてしまうわけでもない。身近にいるから忘れそうになってしまうが、やはり人々を魅了するアイドルなんだな、と離れて見ることで改めて実感する。
よくよく見ているとやけに落ち着きがない。手元のケータイを見たかと思えば自宅から持ってきたのだろう文庫本を開いて、すぐに読むのを止めてしまう。きっと緊張して内容が入って来ないのだろう。そんな様子がいじらしく、悪戯心が働いてしまった。
なんでか百合子ってからかいたくなっちゃうんだよな。
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