66:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:22:01.29 ID:xzpENjoO0
二人の会話に紺之介が割って入った。
紺之介「なんの話をしているのか知らんが乱怒攻流……俺はお前が欲しくなった。保護対象としてではない。俺のものになれ、乱怒攻流」
乱怒攻流「は……」
67:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:24:52.18 ID:xzpENjoO0
紺之介「お前がその姿で旅について来てくれるならば刀収集を趣味とする者としてこれ以上はない! その不可解な造りの背嚢があれば旅路にて見つけた素晴らしき刀を見限りをつけず購入、持ち運びすることができる!!!」
いつになく静けさを消し興奮して語る紺之介だったが結局のところ幼刀たちには理解が追いつかず一人は困惑の表情を浮かべもう一人は苛立ちそっぽを向いた。
だがそれは意外にも今まで口数の少なかった庄司の心にだけ業火の炎を灯した。
68:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:26:25.52 ID:xzpENjoO0
庄司「っ!!!乱怒攻流たんは某の幼刀! 同士として紺之介殿には絶対に譲れんッ! 幼刀 乱怒攻流 -らんどせる- ! その者を八つ裂きにしろォ!」
乱怒攻流「よく分かんないけど……本気出していいってことね」
庄司の許可を得た乱怒攻流は両手の二刀をその場に捨てると背嚢から刀でも鞘でもない、いくつかの穴が開けられた棒を取り出してその先端を咥えこんだ。
69:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:28:05.53 ID:xzpENjoO0
もう一度両者互いに身構えた静寂の中に、甲高い旋律の音色が響く。
紺之介(縦笛?)
70:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:29:20.75 ID:xzpENjoO0
縦笛を吹く乱怒攻流の周りをいくつもの刀が魚のように宙を泳いでいる。瞬時に周りを見渡したが先ほどまで畳に突き刺さっていた何本かも完全に姿を消している。恐らく宙を泳ぐが内のその一本一本がそれらなのだろう。
紺之介「面白い。その笛の音色もさることながらまるで美刀の展覧会ではないか」
71:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:31:24.93 ID:xzpENjoO0
紺之介が駆け出したことによりついに二人の最後の攻防が幕を開けた。宙を舞い的確に紺之介を狙う刀に対して彼は出来るだけ低い姿勢を保ったまま接近し、襲い来る刀を間合いぎりぎりまで引きつけてかわす。
再び畳を裂いた刀を今度は紺之介が抜いて振り上げた。また一刀、また一刀と宙を舞う刀がはたき落とされていく。
乱怒攻流(あ゛ーもう!)
72:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:33:28.74 ID:xzpENjoO0
乱怒攻流(えっ)
浮いた足首を紺之介が素早く掴み取った。そのことによって姿勢を後ろに崩しかけた乱怒攻流の背を、刀を捨てた彼の手が支えた。
紺之介「おっ、と」
73:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:34:28.13 ID:xzpENjoO0
焦った庄司が鞘を握りて何度も「納刀」と叫んだがその言葉は乱怒攻流の身体に届かず無意味に座敷に響くだけとなった。
紺之介「どうやら、所有権が移ったようだな」
乱怒攻流「あ、ぁ……ちょっとぉ!」
74:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:35:31.25 ID:xzpENjoO0
…………………………
庄司の家を後にした紺之介は興味本意に乱怒攻流の背嚢をいじり倒していた。
75:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:36:59.12 ID:xzpENjoO0
愛栗子「それはそやつの『刀』じゃ。幼刀はみなその名を授かるにあたった力を持っておる。先ほどの縦笛も乱の『刀』の一つじゃな。一つだけの奴もおれば複数持っておる者もおる」
紺之介「お前も持っているのか」
愛栗子「まぁそうじゃの。見てみたいか?」
76:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 23:39:27.79 ID:xzpENjoO0
颯爽と逃走を図る乱怒攻流の後ろ姿にため息を吐きながら彼女の鞘を握った紺之介であったが彼が『納刀』と口に出す前に何処からか飛んできた謎の黒紐が乱怒攻流の身体を巻くように絡みつき彼女を往来に転かした。
乱怒攻流「ふぎゃっ」
紺之介「なっ……」
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