294:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:16:29.21 ID:QarN0Zl90
紺之介「俺はやるぞ。誰がなんと言おうと刃踏を負かし、必ずや実力にて収集してみせる」
茢楠「……」
乱怒攻流「あらら」
295:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:17:00.84 ID:QarN0Zl90
……………………
愛栗子と乱怒攻流、そして茢楠が見守る中紺之介と刃踏が向かい合う。
方や鞘付き刀を異様な形相で握る剣客の男、方や手ぶらに着物の少女……その光景はとても試合の前触れとは思えぬような光景であった。
296:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:17:31.98 ID:QarN0Zl90
紺之介「おい」
刃踏「は、ひゃいっ!」
紺之介「早く『刀』を構えろ。お前にもあるのだろう?」
297:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:18:17.66 ID:QarN0Zl90
茢楠「では御二方、よろしいですね」
紺之介の疑いの目配せを他所に茢楠は行司として対する二人の間に立つと片腕を真上に挙げる。
紺之介は握り手に、刃踏は震える足腰にそれぞれ緊張を走らせど一部の観客の目からは未だ憂いの目線がある中茢楠の腕が空を割いた。
298:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:18:45.83 ID:QarN0Zl90
声と共に紺之介のすり足が床を離れ、飛び込む形へと移り変わる。
姿勢を低くした急速な接近はかつて彼が乱怒攻流と対峙した瞬間を彷彿させる。
紺之介(先ずは獲物の正体を出させてやる)
299:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:19:14.12 ID:QarN0Zl90
実際、向かってくる紺之介に対して刃踏も棒立ちをやめ、まだ締まらぬ表情を浮かべながらも両腕を広げていた。
紺之介(来るッ)
300:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:20:05.00 ID:QarN0Zl90
そうして遂に衝突の時は来たる。
激しい攻防の幕開けか、どちらかの決着か、見届ける三人の瞳にその景色は映り込んだ。
乱怒攻流「へ」
301:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:20:56.58 ID:QarN0Zl90
突き立てられた鞘付きの刀は刃踏の脇腹をかすめており紺之介の上体は刃踏に抱かれていた。
彼の膝は床を着き、彼の頭は刃踏の胸元にあった。
刃踏「幼刀なんて……そんな大きな力、やっぱり私にはありませんよ」
302:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:21:40.82 ID:QarN0Zl90
薄れゆく意識な中、近づいてくる愛栗子の声だけが置き土産のように彼の頭蓋に木霊した。
愛栗子「少しは頭が冷えたか。全てを呑み込むその慈愛こそがそやつの『刀』なのじゃ……ぬし、もう斬られておるよ」
紺之介(ああ、これか。これが幼刀刃踏-ばぶみ-の『刀』だったのか……この、やわらかいこれが……)
303:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:22:55.82 ID:QarN0Zl90
「ぬしの負けじゃ、紺」
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