223:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:43:22.05 ID:f3jC59Mz0
源氏「そんなことしている内によ……抜刀したヤツの姿が見えるようになっちまったぜ。しかし自分の所有物とは戦えねェたぁがっかりだよなァ〜……」
源氏は目の前の男が己の狂気に足を固められているとも知らずに何年も蓄積させた愚痴をここぞとばかりにこぼし続ける。
彼を前にして紺之介の戦慄収まることを知らずただただ太刀の刃先にか細い戦意を乗せて構えるばかり。その最中に源氏たる男の『異常』を噛み締める。
224:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:44:07.67 ID:f3jC59Mz0
紺之介の脳内に見たわけでもない景色が広がる。広がるゆく業火の中……彼に縛られ、犯され、汚されゆく少女たちの表情が。
その少女の顔は次第に近しい存在へと変化してゆく、乱怒攻流、そして愛栗子の顔へと……
紺之介「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」
225:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:44:43.85 ID:f3jC59Mz0
乱怒攻流「へ、ちょ……どういう状況なのよこれ!」
愛栗子「……乱、はよう走れ」
紺之介を残し迷わず駆け抜けた愛栗子に乱怒攻流は戸惑いを覚えながらも後に続く。
226:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:45:26.56 ID:f3jC59Mz0
乱怒攻流「なんかあいつの目の前にいた奴が相当強いヤツだったってことは何となく分かったんだけど……にしてもあんたがあいつの強さを信じずにすんなり逃げ出すだなんて、そっちの方が驚いたわ」
愛栗子「何を言っておる。信じておるわ」
依然として彼女は疾走を心がけてはいたがその言葉には一寸たりとも迷いも不安も隠されてはいなかった。
227:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:47:27.80 ID:f3jC59Mz0
愛栗子「じゃがの、わらわよりもあやつの方がさらに己の強さに信を通しておる。そのあやつがわらわらを抜刀するやいなああも叫んだのじゃ……そういうことじゃろう」
愛栗子「それに、あやつはこうも言うておった。『後で必ず納刀する』との。何も死に場所を見つけたわけでもなさそうじゃし、今は無理にわらわらが出る幕でもないというわけじゃの」
乱怒攻流「まぁ、あいつに馬鹿みたいに心酔してるあんたがそこまで言うならそういうことにしておくわ」
228:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:48:09.05 ID:f3jC59Mz0
乱怒攻流「にしても『刀狩り』とやらがそこまでのやり手だったとはねぇ……これからどうするのよ」
愛栗子「一先ずあちらの木々に身を潜ませるとするかの。わらわはもう疲れてしもうたわ」
229:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:48:55.54 ID:f3jC59Mz0
「へぐぅ……!」
愛栗子「! 乱、止まるのじゃ」
230:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:49:32.21 ID:f3jC59Mz0
「ひっ……! な、なんなんだよアイツはよぉ……!」
後に続いて引き腰の男が奴の飛んできた方向を見ながら尻餅をついた。
それでも尚男は手をついて後ずさり、その場に奴と同じ幼刀である少女が二人も現れたというのにまるでそのことに全く気がついていない様子で正面に釘付けにされていた。
231:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:50:23.81 ID:f3jC59Mz0
彼の見る方向にあったのは闇に潜む殺意。
その闇が放つ殺意が男の脳に『一瞬でも目を逸らせば殺されかねない』という情報を焼き付け、視線を正面に固定させているのだ。
男の目の前に迫る『何か』は木々の隙間から割って入る月明かりに照らされ闇から浮かび上がるようにして姿を現した。
232:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:51:07.61 ID:f3jC59Mz0
さらに熊の人形は片腕のみを肥大化させると
「オイ泣いてんなよペド! ま、待ってくれ……」
「……じゃま」
233:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:51:59.97 ID:f3jC59Mz0
この一連の光景を目の当たりにした愛栗子は一人確信に至る。
愛栗子「……紺が手こずっておった相手はどうやらとんでもない輩だったみたいじゃの」
乱怒攻流「愛栗子、あれって……」
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