221:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:41:39.09 ID:f3jC59Mz0
心身ともに余裕なく肩で呼吸する紺之介。
その前髪から覗かせる睨みに対して凄まれることもなく源氏は峰で肩を叩いた。
源氏「でもな? 最高の奴俺に重要なことを何一つ喋らずに逝きやがった。他の幼刀の在り方もそうだがな、一番頭に来たのは持ってる幼刀とは殺りあえねぇってこった」
222:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:42:22.08 ID:f3jC59Mz0
源氏「そうしたら金がいるだろ? まぁ文無しだったからよ……村一つ二つ焼いて金目の物漁ってたんだがある時それすら馬鹿馬鹿しくなっちまってな。いろいろ溜まってたんだよ」
源氏「だからある日焼いたついでに村のメスガキを犯してな……これが思いのほかイイもんだったんだよ。うるせェ悲鳴やら嬌声やらも全部快感に変わんだ。ありゃ今思い出してもたまんねェぜ」
源氏は歯と歯の隙間から舌をちらつかせて下衆そのものといった様子の嘲り笑いを浮かべた。
223:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:43:22.05 ID:f3jC59Mz0
源氏「そんなことしている内によ……抜刀したヤツの姿が見えるようになっちまったぜ。しかし自分の所有物とは戦えねェたぁがっかりだよなァ〜……」
源氏は目の前の男が己の狂気に足を固められているとも知らずに何年も蓄積させた愚痴をここぞとばかりにこぼし続ける。
彼を前にして紺之介の戦慄収まることを知らずただただ太刀の刃先にか細い戦意を乗せて構えるばかり。その最中に源氏たる男の『異常』を噛み締める。
224:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:44:07.67 ID:f3jC59Mz0
紺之介の脳内に見たわけでもない景色が広がる。広がるゆく業火の中……彼に縛られ、犯され、汚されゆく少女たちの表情が。
その少女の顔は次第に近しい存在へと変化してゆく、乱怒攻流、そして愛栗子の顔へと……
紺之介「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」
225:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:44:43.85 ID:f3jC59Mz0
乱怒攻流「へ、ちょ……どういう状況なのよこれ!」
愛栗子「……乱、はよう走れ」
紺之介を残し迷わず駆け抜けた愛栗子に乱怒攻流は戸惑いを覚えながらも後に続く。
226:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:45:26.56 ID:f3jC59Mz0
乱怒攻流「なんかあいつの目の前にいた奴が相当強いヤツだったってことは何となく分かったんだけど……にしてもあんたがあいつの強さを信じずにすんなり逃げ出すだなんて、そっちの方が驚いたわ」
愛栗子「何を言っておる。信じておるわ」
依然として彼女は疾走を心がけてはいたがその言葉には一寸たりとも迷いも不安も隠されてはいなかった。
227:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:47:27.80 ID:f3jC59Mz0
愛栗子「じゃがの、わらわよりもあやつの方がさらに己の強さに信を通しておる。そのあやつがわらわらを抜刀するやいなああも叫んだのじゃ……そういうことじゃろう」
愛栗子「それに、あやつはこうも言うておった。『後で必ず納刀する』との。何も死に場所を見つけたわけでもなさそうじゃし、今は無理にわらわらが出る幕でもないというわけじゃの」
乱怒攻流「まぁ、あいつに馬鹿みたいに心酔してるあんたがそこまで言うならそういうことにしておくわ」
228:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:48:09.05 ID:f3jC59Mz0
乱怒攻流「にしても『刀狩り』とやらがそこまでのやり手だったとはねぇ……これからどうするのよ」
愛栗子「一先ずあちらの木々に身を潜ませるとするかの。わらわはもう疲れてしもうたわ」
229:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:48:55.54 ID:f3jC59Mz0
「へぐぅ……!」
愛栗子「! 乱、止まるのじゃ」
230:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:49:32.21 ID:f3jC59Mz0
「ひっ……! な、なんなんだよアイツはよぉ……!」
後に続いて引き腰の男が奴の飛んできた方向を見ながら尻餅をついた。
それでも尚男は手をついて後ずさり、その場に奴と同じ幼刀である少女が二人も現れたというのにまるでそのことに全く気がついていない様子で正面に釘付けにされていた。
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