203:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:03:08.76 ID:/2q0Qaon0
源氏の言葉に紺之介はつい口元を緩めた。彼の言葉によってやっと自らが幼刀を戦わせることを全く考慮していなかったことに気がついたのである。
だが源氏が刀狩りではないと分かっている以上事実を語る義理も無しと紺之介は引きつった笑みのまま己の剣を示した。
紺之介「当たり前だ。俺の剣は父から譲り受けた護衛剣術……故にそれが誰かであれ刀であれ己の命のためであろうと護るためにこの剣を振るのみよ」
204:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:03:37.66 ID:/2q0Qaon0
源氏「護衛剣術……」
源氏の眉が歪む。彼は何かを思い出したかのように左人差し指でその眉をかいた。
紺之介(……なんだ?)
205:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:04:13.81 ID:/2q0Qaon0
紺之介「もり、たか……だと……何故お前が、お前が……!」
紺之介が平常心を失ったのは他でもない。源氏の口から出たその人物の名は……
紺之介「父の名を!」
206:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:04:42.54 ID:/2q0Qaon0
源氏「何故ってそりゃあよォ……」
源氏が次に口を開いた時、刀狩りの噂が呼び寄せた運命がついに交差した。
207:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:05:25.15 ID:/2q0Qaon0
続く
208:名無しNIPPER[sage]
2019/04/08(月) 23:26:32.07 ID:3hlCp8agO
おつおつ。やっていることはドシリアスなのに……w
209:名無しNIPPER[sage]
2019/04/09(火) 05:39:19.55 ID:bqlKXca/O
乙!
210: ◆hs5MwVGbLE[saga]
2019/04/21(日) 09:32:53.69 ID:f3jC59Mz0
………………
それは遡ること十年の時。
『強者』を求め、そして己もまた『強者』であることを極めんとした男、光源氏。
211:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:33:40.47 ID:f3jC59Mz0
道場とは本来力なき故に教えを請う者を歓迎する場所であるべきところだが、源氏は師範という立場でありながら尚も己を過剰に磨くための立会いを繰り返し門下生に深手を負わせ続けてきたのだ。
そのことを師に指摘された源氏は逆上。遂に己の師すらその切っ先の錆としてしまう。
そして肉塊と化した師に目を落としたとき源氏は一人悟った。
212:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 09:34:19.79 ID:f3jC59Mz0
しかし当然のことながら彼は途方に暮れていた。
師をも超えた彼の狂刃と渡り合う相手など武士が消えゆくこの幕末の世にはそうそう現れなかったのである。
そうして見つけた退屈しのぎの熊殺しにも飽きてきた頃、彼は獣道を歩く一人の男と遭遇した。
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