20: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:20:26.44 ID:nSoKXtCU0
花丸「そうですか。では続けます」
花丸「ある日の休日のことです。ダイヤさんから『どこかに出かけよう』と提案がありました。家ではあまり自己主張しないダイヤさんなので少し意外に思いました。どこへ? と聞き返すと、映画館とか、水族館とか、など適当な場所を挙げ、その後すぐに、『行きたくなければ別にいい』と付け加えます。これはいわゆる、デートのお誘いというものなのでしょう。ダイヤさんらしい控えめなお誘いの仕方が微笑ましく思います。こういうことはめったにないことなので、当然断りません。ですが行く場所は私に決めさせてもらいました。以前からダイヤさんと行きたかった場所があるのです。それは、朝のあの怖いダイヤさんが日中を過ごしている職場です。職場でのダイヤさんはきっとかっこいいに違いありません。そんなダイヤさんを少しでも知りたいのです。見たいのです」
21: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:21:23.21 ID:nSoKXtCU0
花丸「ダイヤさんは職場に向かいます。その前に神社に立ち寄りました。ダイヤさんはいつもここで参拝をしてから職場に向かうのだと言いましたが、その割には少し落ち着かない様子でした。聞くと、いつもはもっと人が少ないそうです。あたりを見回すと、参拝者の方はまあまあ居ました。いつも平日の早朝にしか参拝に来ないダイヤさんにとっても、休日のこの遅い時間では、見慣れたはずの場所も新鮮に感じているようでした」
花丸「神社に入って気になったのが、ある場所にできた人だかりです。参拝を済ませた後に、その人だかりに二人で紛れ込んで何があるのか見てみました。人だかりの視線の先には本殿の横に建てられている神楽殿がありました。神楽殿の中の舞台上では雅楽が奏でられ、その中で巫女が神楽を舞っていました。舞台の前には、ご老人から子供まで、色々の人が参列していて、その全員が正装に身を包んでいます。そして参列者の先頭には、この場にいる誰よりもひときわ美しい姿の白無垢の女性がいました。あまり見られる光景ではないので、つい足を止めて眺めてしまいます」
22: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:22:21.07 ID:nSoKXtCU0
花丸「人の本当の気持ちなどそう簡単に知ることなどできない。そのはずなのに、こうしていると、ダイヤさんの気持ちが私の中に流れてくるようでした。例えば、この人は何故、毎朝怖い表情で家を出るのか。この人は何故、私に働くなと言ったのか。この人は何故、先ほどの神社で私の手を握り返してくれなかったのか。この人は何故、この冷たい海風にさらされているのに、寒いから早く帰ろうと言わないのか。その何故の答えが、全部、全部、私の想像ではなく、事実として分かっていくような」
花丸「分かっていくこの人の気持ちが、私の想像でないと、今なら言い切れます。だって、この人の心臓は今はとても元気よく鼓動しています。それに、顔はとても綺麗な赤色に染まっています。夕日のせいだと言い訳ができないほどに」
23: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:23:04.11 ID:nSoKXtCU0
花丸「そしてダイヤさんは、口をゆっくりと開き―――」
24: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:25:14.11 ID:nSoKXtCU0
花丸「まるで大岡裁きずら。二人とも同時に離しちゃったけど」
鞠莉「オーケー・・・分かった・・・。喧嘩はダメよね」
25: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:27:09.55 ID:nSoKXtCU0
ルビィ「だめぇぇえ!!!!」
26: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:27:43.83 ID:nSoKXtCU0
ありがとうございました。
27:名無しNIPPER[sage]
2019/03/02(土) 15:46:12.09 ID:fcZDejwTo
乙。最後もうちょっと欲しいな
でも文量を書けるのはすげーと思う
28:名無しNIPPER[sage]
2019/03/02(土) 18:36:20.19 ID:sI2dCZvUo
おつー
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