ダイヤ「お、お嫁さん・・・?」
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16: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:10:21.79 ID:nSoKXtCU0

花丸「そうですか。では続けます」

花丸「ダイヤさんは、以前はこの家でずっと一人暮らしをしていました。朝はいつも疲れが抜けていない体を無理に起こします。料理をする暇などなく、かといって何も食べずに家を出ると仕事中に力が入らなくなります。だから、前日の夜に買ってきて調理台に置いておいた豆腐とかみかんとかだけを手早く食べ、そして慌てて着替えてぎりぎりの時間に家を出ます。日中一生懸命働いて、疲れて、夜遅くに帰ってきて、寝る時間を少しでも確保するために、お風呂には入らずシャワーだけを浴びて、夕食は食べずに寝る。たまの休日は疲れ果てて眠ってばかりいて、ろくに部屋の掃除をすることもできていませんでした。それが一人暮らしをしていた頃のダイヤさんです」

花丸「そんなあるときに、花丸と暮らすことになりました。最初のうちは散らかった部屋とか、汚れたトイレやお風呂を見られるのがとても恥ずかしくて仕方のなかったダイヤさんでした。ですが、それを花丸は笑うことも蔑むこともなく、黙々と掃除をして、ダイヤさんの家に来たその日のうちに部屋を綺麗にしました。ダイヤさんがいつものように疲れて夜遅くに仕事から帰って来ると、綺麗で清潔になった部屋に、おかずがたくさんの暖かい手料理が目に入り、とても感動しました」

花丸「花丸がこの家に来た翌朝のことです。ダイヤさんがいつものように仕事着へと着替え始めると、上着をハンガーから外して持った花丸が近くに来ました。親切に持ってきてくれたのだと思ったダイヤさんは、上着を受け取ろうと手を出しますが、花丸は上着を持ったままダイヤさんの背中へと回ります。意図していなかった花丸の動きに、ダイヤさんが不思議に思っていると、花丸は差し出されたダイヤさんの手を取り上着へと袖を通しました。ダイヤさんが何をされているのか直ぐに理解できずに放心していると、今度は花丸がダイヤさんの前に立ち、ボタンをとめ、ネクタイを結び始めました。ダイヤさんより背の低い花丸。ダイヤさんの視界は花丸の前髪が広がりました。少し見下ろすと、ネクタイを結ぶ手元を見ている花丸の顔が見え、その顔は少し微笑んでいます。その姿にダイヤさんは思わず息をのみます。そうすると、鼻を通じて花丸の香りが頭の中を駆け巡ります」

花丸「ストレスと疲労をすっかり飼いならし、人と触れ合うことすらほとんどなくなった日常を送っているダイヤさんにとって、花丸の何気ない気遣いの行動や近い距離感は、その一つ一つが常軌を逸していました。ダイヤさんにとってのその非日常は、日常で押さえつけられている情欲を暴露させていくに十分でした。ですが、花丸のこの微笑みを絶対に曇らせてはならないというその一心で、なんとか必死に醜い自分を抑え込みました。頭の中の情欲を、仕事のことを考えてかき消そうとしました。だけどいくら他のことを考えようとしても、目の前の花丸が頭から離れません」

花丸「もうこうなったら、視界から花丸を外し、早く外に出ることだけに集中しよう。ダイヤさんはそう思いました。花丸がネクタイを結び終わったら、足早に玄関に向かいました。背中から花丸の声が聞こえます。『いってらっしゃい』。振り返るどころか、それに言葉を返す余裕すら、ダイヤさんにはもうありません。そんなことをしたらもう本当に理性を保てない。仕事どころではなくなる。でも、せっかく声をかけてもらっているのに、無視するわけにもいかない。ダイヤさんはなんとかがんばって声を絞りだします。そうしてやっと出てきた一声が、『ん』。そんな朝のやり取りを、ダイヤさんはもう3年間も繰り返しています」

ダイヤ「・・・・・・・っ」 …キュン


花丸「ドキッとしたずら?」

ダイヤ「あっ・・・うっ・・・ど、どうでしょう・・・」





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