15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/08(金) 22:27:24.77 ID:441QTGT20
「えっ?」
何と無しに、その場で背を少し伸ばす。
こんな時、俺も夏樹のようにそのソファーに腰を下ろして、フォークギターの一つでも弾けたらな──なんて。
「最初は、ただただ綺麗だなって、夢中になりました。
目の前に表れた絶世の美女に、単純明快な想いを走らせるだけ──
でも、この人の本質は何なのだろうと、話しながら思ったんです。
そしてそれは、この人自身にも見えていないんじゃないかって」
おそるおそる、チラッと視線を向ける。
オッドアイの瞳が、先ほどよりも少し大きくなった気がして、また目を伏せた。
「自分を持て余して、何者かになりたいのになれないジレンマを抱えて、苦しんでいる気がしたんです。
すごく不安定で、つなぎ止めないと消えて無くなりそうで、だから捕まえた。
迷っていないのなら勝手に離れていくでしょうし、そうでないとしたら、この人が自分の本質を見出す日まで、力になりたかった──
それだけです」
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