16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/08(金) 22:28:33.43 ID:441QTGT20
ひとしきり言い終わって冷静になり、ふと自分に驚いた。
こんな想いを、いつの間にやり場もなく抱いていたとは──。
でも、照れくささこそあれ、恥ずかしいという気持ちはあまり無い。
仮に今、俺の顔が赤くなっていたとしても、夕日のせいにすればいいや。
楓さんは、直接差し込んできた西日を背にしてこちらを向いているから、その表情はうまく窺えない。
だけど──。
「──ありがとうございます、プロデューサー」
「ところで、俺からも質問いいですか?」
「なぜケンカをしたいのか、でしたっけ?」
「それは、もういいです。大体分かるから」
おっ──今、小首を傾げたな。
きっと、キョトンとした顔になっているんだろう。
「楓さんは、フランスでそのアニメ映画を観た時、泣いたんですか?」
「さっき、お話しませんでした?」
「とても映像が綺麗で、奏がそれを観て泣いた、という話でした」
「ふふっ」
小さく笑い、楓さんは窓の外へ向き直る。
煙に巻いたということは、やっぱり泣いてないなこの人。
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