【バンドリ】無題
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:05:13.73 ID:M4jexkrI0



 東北地方はどんな場所でも冬に雪が積もるんだと勝手に思っていたけど、太平洋側に位置するこの都市ではそこまで激しく雪が降ることはない……というのは、一人暮らしを始めた最初の冬に知った。

 東京に比べれば降ることは降るけれど、ニュースで見るような、人が半分埋もれたり、車や家の屋根の上に白い塊が分厚く乗っかっているという情景からは程遠い。精々靴が埋まるくらいの積雪が多かった。

 三月始めの休日もそんな風に雪がぱらぱらと降る日で、道路や家々の屋根、街路樹には薄っすらと白いヴェールがかかっていた。その中を私は目的もなく歩いていた。

 淡い青色をした小ぶりの傘を広げ、スーツ姿で歩きづらそうにしている人々の中に混じって、ただ足を進める。

 そのまま駅の改札前を通り抜けて、反対口のバスロータリーに辿り着いた。市内循環バスに乗ろうとふと思って、十六番乗り場に向かうと、ちょうどレトロな外観をしたバスが乗り場にやってきたところだった。

 一日乗車券が乗り場に売られていたけれど、そこまで乗りつぶす気もなかったから、そのままバスに乗り込む。

 今日は雪だからか、平日の昼間だというのにそこそこに人が乗っていた。元より座る気がなかった私はバスの後ろの方でつり革を掴み、雪の舞い落ちる街をぼんやり眺めることにした。



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