「おはよう。捻挫少年。」
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41: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/12(土) 18:26:06.27 ID:mYk8szNr0

「もしかして元々勉強嫌いじゃなかった?」
少し伸びて肩下ほどの長さになった髪を手櫛で整えながら先生は言う。
「んー、そうかもしれません。自由研究とか自分の好きなことを調べるのは好きでした。」
「へー、だからあんまり文句も言わずにしっかり勉強してるんだね。塾の生徒の中には高校3年の夏を過ぎても、言われてしかやらない子もいたから。」
「先生はどうでした?」
「私は怪我もしてたし、ほどほどに勉強しながら過ごしてたから勉強だけになってもあんまり辛くはなかったかな。
もちろん、訳分かんない古文漢文は辛かったよ。
物語自体はハチャメチャで現代語訳で読んだら面白いのが多かったんだけど、原文で読むのにはどうしても慣れなかったよ。」
「怪我してても最後まで部活を?」
「うん。試合にはあんまり出れなかったけど、捻挫の本とか怪我予防の為のトレーニング方法とか、
リハビリに関する記事を調べたりして怪我中はマネージャーみたいになって実践してたからね。
友達の為にもなったから、自分が出れなくても楽しかった。」
「すごいですね。…僕は自分が活躍できなかったら悔しいです。」
「…うん、私は諦めちゃってたのかもね。」

佐藤さんのトーンが下がったことに驚いた。咄嗟にフォローする。
「いえ、そんなことないと思います。」
「結局、最後は選手としてコートに立ってなかったし。」
「それでも、誰かの為という理由で続けられるだけで全然違うと…僕は思います。」
そう言うと、少し間をおいてから、困ったような顔をして彼女は笑った。

「…そっか、ありがと。」
とても綺麗な笑顔だと思った。




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