19: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:14:55.88 ID:piIM8FBL0
彼女の名前は佐藤あゆみ。27歳。この大学のOGで、現在は隣町で医療関係の会社で働いているらしい。
20: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:15:39.17 ID:piIM8FBL0
「こんにちは、佐藤です。来週はとりあえず最近のテストと成績表持ってきて下さい。」
家に帰った後にメッセージが来た。本気で勉強をするつもりらしい。
「こんにちは。あの、本当に大丈夫ですか?お仕事もあると思いますし、無理にとは言わないので。捻挫も大したことないですから。」
21: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:16:53.95 ID:piIM8FBL0
「こんにちは。今日からよろしくね。」
大学図書館1階、階段の前の踊り場でコートを腕にかけて、彼女は待っていた。
「よろしくお願いします。」
22: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:17:24.66 ID:piIM8FBL0
部活を辞めてから、テニス部の主力メンバーとは顔を合わせ辛い。
特に強く引き留めていた同じクラスの鹿島武志とは、それまではよく遊んでいた仲だったが、
なんと声をかけていいのかわかりあぐねているようで、教室で会っても、
「勉強頑張れよ。」とか、「勉強の息抜きで練習来いよ。」とか
23: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:18:14.02 ID:piIM8FBL0
「今日は勉強を教えるというよりは、現状確認と目標設定したら終わり。あとは適当に。」
不愛想な態度も、特に気にしていない様子で開架室に向かいながら彼女は言う。
24: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:20:33.68 ID:piIM8FBL0
思ったよりフランクに話しかけてくる。初対面の時の印象よりもかなりカラッとした性格らしい。
開架室の隅の方のテーブルの一角に座って、持ってきた成績表を渡す。
成績は全体的に平均より少し上で、良くもないが悪くもない。
25: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:22:26.34 ID:piIM8FBL0
「目標の大学ってある?」
「いえ、まだ特に…」
「興味ある分野とか、都市の方に出てみたいとかは?」
「そういうのも別に…」
26: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:23:33.79 ID:piIM8FBL0
最初の授業は簡単な質疑応答というか、雑談をして終わった。
志望校は決まらなかったが、とりあえずセンターの目標点を定めて、それに向けて基礎的な部分の補講と問題演習をしていくらしい。
携帯で時間を確認して彼女は言う。
27: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:24:05.22 ID:piIM8FBL0
「じゃあ、今日はこのくらいにしとこうか。もう日が落ちてきちゃったし。来週もおんなじ時間で大丈夫?」
「やっぱり勉強するんですか?」
「当たり前でしょ、何言ってんの。」
「言ってみただけです。よろしくお願いします。」
28: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:28:38.62 ID:piIM8FBL0
「よう、捻挫少年。」
「間違ってはないんですけど、辞めません?その呼び方。」
「私の中で、君は既に捻挫少年になってしまったのだ。多分、治っても言うね、私は。」
「じゃあ、僕の中で佐藤さんの第一印象は初めて氷の上に立ったバンビなんですけど、バンビって呼んでいいですか?」
29: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:29:30.98 ID:piIM8FBL0
その日は3月に迫った期末試験の範囲を重点的に見てもらった。
学校から課題が出されるので、その中で間違えたところや、分かり難いところを教えてもらう感じだ。
塾講師をしていただけあって教えるのには慣れているようで、説明は簡潔で分かりやすかった。
僕が問題を解いている間、佐藤さんは本を読んで過ごしていた。
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