91: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2019/01/03(木) 20:48:39.28 ID:p8Id/7Jt0
いや、これだけ指せるから、だろうか。巴が将棋好きだといっても、所詮十三歳の小娘のこと、自分の相手にはならないだろうと考えたのかもしれない。事実、その通りだったわけだが。
どんな経緯で杏が将棋を覚えたのかはわからない。しかし、杏こそ、勝負になるような相手がいないのではないか。勝って当然の退屈を味わっているのではないか、と思った。
「……また、相手してくれるかの?」
「うーん……いや、もう当分やんない」
――それは、いつかは相手をしてくれる、と思ってええんじゃな?
「ほいじゃあ、そのときまでに、せいぜい強うなっとくわ。首を洗って待っとき」
まるで負け惜しみの見本のようなセリフだ、と自分で笑ってしまう。
「期待しないで待ってるよ」
杏がへらっと気の抜けた笑みを返した。
123Res/67.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20