90: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2019/01/03(木) 20:47:21.53 ID:p8Id/7Jt0
「ありません」会釈しながら、巴がつぶやく。
「おつかれー」
杏がソファに深く体を沈め、はあっと大きく息をつく。
「……そっちのほうが、疲れてるように見えるのう」
「一キロは痩せたね。間違いない」杏が笑いながら云う。
『何をされたのかわからん』というのが、巴の正直な感想だった。
ここまで見事に寄せ切られると、悔しさよりも感心してしまう。相手がいないなんて自惚れていた数時間前の自分を笑ってやりたくなった。
ふと巴は考える。今日まで、杏が将棋を指せるなんて知らなかった。おそらく誰も聞いたことがないだろう。
巴が趣味は将棋だと公言し、常日頃から相手を探しているのは誰もが知るところだ。しかし杏から勝負を持ち掛けてくることはなかった。これだけ指せるというのに。
123Res/67.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20