勇者「彼は正しく英雄だった」
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420:名無しNIPPER[saga]
2019/02/07(木) 23:52:08.78 ID:ltwtokG1O

(何だ、この表情は……)

国王は背筋に虫が這うような不気味な感覚に囚われたが、決して目を逸らすことはなかった。

それどころか睨み返し、目の前の存在が何者であるのかを探ろうとしている。

錬金術師の瞳の奥で煮え滾る感情の熱、それが十年二十年で作り出せるものではないことを、国王は即座に見抜いた。

(この目は、知っている)

国王は、以前にも見たことがあった。

それは遠い過去、統一戦争の折、一人の男が見せた眼差しに良く似ていた。

その男と一度目が合った時から危険な存在であると分かった。そして、その予感は的中した。

王でありながら先陣を切り、幾多もの戦いの全てに勝利した彼に、初めて敗北を与えた男。

喰われたのか、折られたのか、それ以降、王は以前のように戦うことが出来なくなってしまった。



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