勇者「彼は正しく英雄だった」
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419:名無しNIPPER[saga]
2019/02/07(木) 23:50:40.76 ID:ltwtokG1O

「大口を叩いてその程度か」

「この私は前座だ。真打ちが現れる」

「誰であろうと、王を裁くなど出来はしない」

「この血に刻み付けられた苦痛が呼び起こす。それこそが、貴様を滅ぼすだろう」

錬金術師は不敵に笑って見せた。

その笑みがやけに似合って見えるのは、これまで幾度となく敵対者に見せてきたからに違いない。

唇の片端を吊り上げ、しぶとく、それでいて嘲るような笑みは、相手を煽り立てるに十分なものだった。

国王は膝を突く錬金術師に対して剣を振るい、今や容易く命を奪えるにも拘わらず、不必要なまでに切り刻んだ。

だが、錬金術師は呻き声一つ上げず、かっと目を見開き睨み付け、更に歪んだ笑みを浮かべた。

それは憎悪のようにも、嘲笑のようにも、挑発のようにも、憤怒のようにも見える。



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