勇者「彼は正しく英雄だった」
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417:名無しNIPPER[saga]
2019/02/07(木) 23:41:50.09 ID:ltwtokG1O

だが、光はもう一つあった。

広場の両端から放たれた二つの雷撃は轟音を立てて衝突し、やがて消滅した。

「たかが雷だ。術式を学ぶことが出来れば、誰もが使えるようになる」

その光景を前に国王は唖然とし、民衆は酷くざわついている。

驚くのも無理はなかった。雷は王家の者のみが持つ魔力の性質によって発現可能とされている。

この四大属性に属さない非常に稀有な魔術体系は、正に王家の象徴とも言える。

それを何処の誰とも分からぬ老人が使用した。これは冒涜と捉えられて当然の行為であった。

錬金術師は意に介した様子もなく、頭痛に顔を顰め、眉間を押さえたまま語り出した。

「今も昔も、支配者という生き物は変わらない。
 魔術師から世界を守るなどと言いながら私の魔術を羨み、妬み、忌避し、その上で全てを奪った。
 何よりも許せないのは、奪った知識と魔術を民に分け与えずに秘匿したことだ。
 魔術と知識の独占、差別、統制の保持。魔術を怖れ、魔術に魅入られた権力者達。
 かつて王と呼ばれた連中も、今や統一王などと呼ばれる貴様も、私にとっては盗っ人に過ぎん」



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