369:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 23:06:30.31 ID:IrdoZQX9O
(このままでは……)
幾度の衝突と激しい攻防の中で、勇者は徐々に傷を負い始めていた。
傷は浅いものの、それは防具に助けられた結果であり、胸当てだけを見ても夥しい数の傷跡が刻まれている。
今のところ体力が尽きる心配はないが、一度でも下手を打てば死に直結する逼迫した状況下では、それも時間の問題と言えた。
経験に差はあれど技術面では決して劣っていない。にも拘わらず、ことごとく打ち負けている。
(何故、何も言ってくれないのですか)
その最大の要因は、勇者の迷いにあった。
彼は傭兵を師として信頼し、慕っている。過ごした時は戦士や魔法使いと比べものにならない。
その師が自分と同年齢にまで若返り、言葉なく襲い掛かって来たのだから動揺するのも当然のことだろう。
何を問おうと答えてはくれないが、師が自分を殺そうとしていることだけは否定しようのない事実だった。
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