363:名無しNIPPER[saga]
2019/01/27(日) 02:02:48.13 ID:8oN8VcFcO
答えはない。
魔術師達の輪は幾重にも重なっているようで、兵士達の姿は確認出来ない。
音も止んでいる。どうやら突撃も停止しているようだ。
監視者は不思議に思ったが、もう一度だけ言ってみることにした。
「君たち、もうやめたまえ。命は、こんなにも美しいのだから」
すると、魔術師達が一斉に振り向いた。足音が何重にも重なって聞こえるのは気のせいではない。
彼の言葉に全ての魔術師が振り向いた。彼は心底驚いたが、不思議と怖ろしさはなかった。
「分からないが、終わったのか? であれば、こんな所にはいない方が良い。もう沢山だ」
魔術師達は何も言わず、彼を見つめている。
何かを求めているような目で、彼の言葉をじっと待っている。
「……良ければ、私達を安全な場所に送ってくれないか? 彼女を休ませてやりたいんだ」
すると、数名の魔術師が彼を担ぎ、更に数名が彼女を丁重に持ち上げた。
そして魔術師達は、彼と彼女を担いだまま何処かへと向かって歩き出した。
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