361:名無しNIPPER[saga]
2019/01/27(日) 02:01:03.43 ID:8oN8VcFcO
「君よ、どうした?」
彼女はじっと一点を見つめている。視線の先には狐と大猿がいた。
此処から程近い場所に倒れていることから、三体には何か特別なものがあったのだろう。
狐と大猿は彼女同様に深く傷付き、この地獄の更に底へと誘われようとしている。
「酷い……」
彼が気付いたのを見て彼女はもう一度、彼を見つめた。その双眸には強い願いがあった。
「彼等を救えと、君はそう言うのかい?」
彼女は答えない。ただ彼を見つめている。魂に訴え掛けるように。
「……分かった。やってみるよ。君が望むならば、私はそれを叶えよう」
彼は彼女の下を離れ、這って彼等の下へ向かった。満身創痍ではあるが、気力はかつてない程に漲っていた。
彼女に託された願いを叶えんと使命感に燃え、激しい痛みすら気にならなくなった。
451Res/297.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20