【モバマス】水曜日の午後には、温かいお茶を淹れて
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20: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/08(土) 00:30:37.66 ID:1bCRB9ws0
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「せっかくだから、見学だけじゃなくてちょっと身体を動かしてみますか?」
ダンスレッスンのトレーナーさんからそう問われて、くるみちゃんはふぇっ! と戸惑いの声をあげた。
「うぅ、くるみ、体育の準備運動もだめだめだから……」
「じゃあ、最初のウォーミングアップだけ一緒にやりましょう。くるみちゃんがこれからレッスンを受けるために、くるみちゃんがどのくらい動けるのかを見て、私たちが上手に教えられるように考えるためなので、協力してください」
「くるみちゃん、私も一緒にやるよ」
「はうぅ、わかりましたぁ……」
くるみちゃんは不安そうな顔で頷いた。
私たちはトレーニングウェアに着替えると、最初のウォーミングアップだけ一緒に身体を動かした。準備運動とストレッチ。たしかに本人から苦手と申告するだけあって、身体の動きがおぼつかない。なにかを怖がっているような動き。きっと活発に身体を動かすこと自体に不安があるんだろうと私は想像した。
トレーナーさんは、美穂ちゃんを含む他の参加者の皆に声をかけつつも、ときどきくるみちゃんの動きを注視して、手元のバインダーにメモをしていた。
そのあとは、私とくるみちゃんはダンススタジオの端に座って、レッスンを見学していた。くるみちゃんはずっと、美穂ちゃんのダンスを、口を半開きにして眺めていた。
やがて、レッスンは休憩時間に入る。美穂ちゃんがドリンクを片手に、汗を拭きながらこちらに歩いてきた。
「ふぅっ!」
さわやかに笑う美穂ちゃんの額には、汗がキラキラ輝いてる。
一方のくるみちゃんは、なんだか沈んだ顔だった。
「くるみ、あんなのできないよぉ……」
美穂ちゃんは私と目を見合わせた。
「えっとね、くるみちゃん、ちょっと立ってみて!」
「ふえっ?」
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