39: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2018/12/23(日) 00:52:49.46 ID:V6ahP/vyO
(追われても面倒だ。確かめる他にない)
意を決して距離を詰める。出来るだけ速度を落とし、敵意がないことを示す。
すると、白い何かも同じ速度で接近し始めた。姿形は少女のようだが油断は出来ない。
(意図も容易くやっているが……)
膝丈まである一枚布で出来たような衣服は、この強風の中にあって微動だにしていない。
服の性質上、仮に場所が地上で静止していても僅かに動くであろうことは分かる。
それが揺れもせずにあるのは、あの真白い少女が気流を操作していると言うことに他ならない。
確かに並外れた魔力を有している。だがそれ以上に、あれ程までに緻密な操作を出来る使い手はそういない。
(吾輩の生きた時代にはいなかった存在だ。それ以降に生まれた新たな王位とも思えない)
小さな器の中にある未知に目を凝らす。
そこには、遥か以前から知っているような不可思議な感覚があった。
(肉体は人間のものだ。魔術で姿を偽っている様子もない。しかし、あの魂の波形は一体……)
などと考えている間にも、距離は縮まる。
結局正体は見抜けぬまま、互いの顔がはっきりと見える距離で静止した。
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