勇者「最期だけは綺麗だな」後編
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38: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2018/12/23(日) 00:51:55.35 ID:V6ahP/vyO

【#9】大成

(そろそろか……ぬ?)

もう一息かと思われた時、何かが見えた。

真白い粒のように見える得体の知れないそれは、王位と比べても遜色ない魔力を内包している。

距離があるとは言え、こうして目視出来るまでに気付かなかったことに、猿王は違和感を覚えた。

(あれは、何だ)

即座に停止し、様子を見る。

真白い何かには動く気配はない。あちらも、出方を窺っているようだ。

敵意はないようだが友好的ではない。魔力を隠さずにいるのがその証だ。

威圧とまでは行かないが警戒はしている。

しかし、現れた目的が分からない。戦意はなく観察しているだけだ。

出来ることなら関わり合いになりたくはないが、そう言うわけにもいかないだろう。

あれ程の魔力を持つ存在が、魔力を感知出来ないと言うことはまず有り得ない。

つまり、此処を通ると分かっていて現れたのだ。何の用もなく現れるはずがない。

何かがあって、此処へ来たのだろう。



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