4:名無しNIPPER
2018/11/27(火) 16:36:08.63 ID:5RohFdgU0
翌日の早朝、曙が部屋に帰るとルームメイトの潮がいなかった。どこに行ったのか考えていると後ろからドアの開く音。「あ、曙ちゃん。入れ違いになっちゃったみたい」
「ちょっと潮! どこに行ってたの、よ……?」「ええと、曙ちゃんを探しに……って曙ちゃん?」「……それはなに?」「これ? 波打ち際に流れ着いてたから持ってきちゃった」。
潮の手には手紙入りの瓶が収まっていた。「それ中はもう見たの?」「うん! 宝の地図かと思ったんだけど、違って、情熱的な恋文だったよ! 曙ちゃんも見る?」「私は、いいわよ」「……そういや曙ちゃんはこういうの確か嫌いだったっけ?」
「……それでそれどうするの?」「うん! せっかくだし返事でも出そうかと」「名前も知らない相手に? 届く保証もなく?」「こっちに流れ着いたってことは、こちらからも相手に流れ着くのは道理でしょ?」
何が道理なものか、曙は苦虫を噛み潰したような顔をした。潮はロマンチックなものに心惹かれるという内気な少女にありがちな性質を持っていたのだ。
「そう、まあほどほどにしときなさいよ」「うん」。曙としては己の都合で友人の楽しみまで奪う気にもならず、やんわりとたしなめる程度に留めておいた。
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