31: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:27:33.68 ID:Nn2yIfhz0
一緒に夕食を食べるため生徒会の面々(と西住さん)に合流すると、夜道を歩くなか、沙織がふいに言い放った。
「麻子、その顔、悩み事? 相談乗るよ?」
32: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:30:41.78 ID:Nn2yIfhz0
こう四方を囲まれては逃げ場もない。
カトラスには「自分で考えろ」と言われたばかりだが、だからといって別に隠すようなことでもない。
むしろ相談に乗ってくれるなら上等だろうと私は話を切り出した。
33: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:31:56.07 ID:Nn2yIfhz0
「良いじゃないですか。恩があるなら返すべきです。素敵なことです」
「五十鈴殿の仰る通りですっ! なにも恥ずかしがることはありませんっ!」
34: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:33:01.00 ID:Nn2yIfhz0
「まあまあ、それで冷泉殿。悩みというのは?」
「……餞別に、何をくれてやるか。それを悩んでいる」
35: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:35:02.91 ID:Nn2yIfhz0
「それでしたら、お相手の好みのものを選ぶしかありませんね」
「そど子の好みと言われてもな。あいつは風紀委員が趣味みたいなものだ。好物もあるにはあるが、即物的なものを渡すのは少し違う気がする」
36: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:37:29.55 ID:Nn2yIfhz0
「そど子先輩って言ったらあれだよね! 遅刻の取り締まり!」
「ですねっ! あ、そういえばもう風紀委員長は引退されてるはずなのに、未だに取り締まりを続けられてるのは、やっぱり趣味だからですかね?」
37: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:39:01.59 ID:Nn2yIfhz0
「……ぉお」
頭の中が、裏返ったような気がした。
38: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:40:32.28 ID:Nn2yIfhz0
そど子への餞別は決まった。
これで、あいつはすっきりとした顔で、晴れ晴れしく大洗を去ることができるだろうか。
39: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:41:22.08 ID:Nn2yIfhz0
「冷泉さんっ! これで連続遅刻記録59日目よっ!」
そう言って喚くそど子の頬を、人差し指で突く。
40: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:42:52.54 ID:Nn2yIfhz0
卒業式が明日に迫った、学校帰りの夜道。
明日を素晴らしい一日にしようと意気込む沙織は、私の顔を見て言った。
「麻子。明日は、前みたいにみんなで起こしに行こうか?」
41: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:44:46.42 ID:Nn2yIfhz0
家に着いて早々、湯船に温めの湯をはる。
明日の準備をした後で、体を沈め、一日の疲れが抜け落ちてゆくのを感じる。
服を着て、歯を磨いて、すぐさま布団の中へ。
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