139: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 00:01:53.51 ID:Co1Z/VQm0
悪魔は彼女の額に人差し指を伸ばした。
契約は完了した。
「そうだ。あなたの名前、なんていうの」
「名前はないよ。あったかもしれないけれど、忘れてしまった。好きに呼んでくれていい」
「う〜ん……じゃあ、何処から来たの?」
彼女は、産地から連想したものを名付けに使う癖がある。
「さあ、何処だっただろうね。僕は何処から来て何処へ行くのか、自分でもわからないんだよ」
彼女は少し考えるような仕草をすると、微笑んだ。
「じゃあ、クォ・ヴァディス。『何処へ行くのか』って意味よ」
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