28: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:32:15.57 ID:fSt5IFCp0
狭いスペースにしきつめられた洗面所に来ると、早速蛇口を捻って勢いよく水を出す。
暑い時には多い水で勢いよく洗うのが気持ちいいのだ。
普段であれば水でさっと洗うだけなのだが、どういう訳かゆっくり洗ってこいという話だったので蛇口横にある石鹸を手にとって時間をかけて顔を洗うことにする。
丁寧に顔を洗うなど、朝起きたときにするぐらいのものだ。
こんな時間にやるのは少なからず違和感があったが、実際やってみるとやはり洗い上がりの気持ちよさは上々で、夏特有の不愉快な気温の中、爽やかな空気が流れているような気がした。
しかし顔を洗うのに時間をかけるというのは難しい話で、五分もせずに終わってしまう。
まあ、男だしな。
紅莉栖はゆっくり洗えと言っていたが、どういう意味だろうか。
水の滴る顔に紅莉栖から受け取ったタオルをあてて拭く。
すると、ほんのりと爽やかな香りが鼻腔を刺激した。
「……いかんな」
柔軟剤なのか、はたまた別の何かかはわからないが、紅莉栖と似た良い香りがタオルから伝わってくる。
くそ、これで恥ずかしがっては紅莉栖に絶対DTとバカにされてしまう!
誰かからタオルを借りるといった経験も久しい俺にはなかなか堪えてしまう。
香りを鼻腔から飛ばすように、ごしごしと荒々しく顔を拭いた俺であった。
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