29: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:33:22.81 ID:fSt5IFCp0
「……あれ、紅莉栖が居ない」
洗面所という狭いスペースでは風もなく、せっかくさっぱりしたのにまた汗をかいてしまう。
理由もわからず適度に待った後で洗面所を出たら、そこに紅莉栖が居ないことに気づいたのだ。
扇風機の電源は入ったままだし、窓も空いている。何より靴が残されている。
となると、どこかに出ていった線は薄いか。
もしかして俺が居ない内に何かがあったのだろうかと一瞬嫌な光景が脳裏をよぎったが、すぐさまそれはありえないと判断する。
「開発室のカーテン、さっきは開いてたよな……?」
先ほどは全開だったはずの開発室のカーテンが、戻ってくると完全に締められていたからだ。
となれば想像は容易い。
何らかの理由で紅莉栖が開発室の中にいる、ということだ。
ただもし違っては困るので一応声をかけておくことにしよう。
「紅莉栖?」
「わひゃあ!?」
途端、中から素っ頓狂な紅莉栖の声と床をドタンと鳴らす音が響いた。
「紅莉栖!? 大丈夫か!?」
「待って! 大丈夫だから入ってこないで!!」
よくない状況なのか、心配なので入ろうとする俺を中から叫んで制止される。
あんまりドタドタと動かれるとミスターブラウンに怒られるのでそれはやめてほしいのだが。
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