26: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:29:49.30 ID:fSt5IFCp0
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「……よし、これでいけるな」
ラボに戻ってくるやいなや、とりあえず今日の作戦目標である扇風機の設置にとりかかる。
とはいっても所詮はただの扇風機。
箱に丁寧に梱包されている五、六個のパーツを取り出して組み立てるだけなので十分もかからずに完成する。
コードをコンセントに挿して通電確認。
ラボにまともな冷房設備が誕生した瞬間である。
まさかラボで風を浴びる事ができようとは、と少し感慨深くなったのは内緒である。
「お疲れ様、岡部。……これ、機種は古いけどいい製品なんじゃない?」
勝者の風を浴びていると、後ろから紅莉栖が声をかけてくる。
流石に扇風機を二人がかりで組み立ててもさほど効率良くはならないので、紅莉栖は先に休ませて俺一人で組み立てていたのだ。
「うむ。扇風機に風を送る以外の機能があるとは知らなかった」
高価格帯のものなのだろう、風量の調節がやたら多かったり、いろんな機能が土台のパネルから操作できたりするらしい。
ご丁寧に説明書までしっかりと残されているので暇な時にでも読むか。
しかし、こんな品が眠っているフェイリス家とは……とりあえず考えるのはやめておこう。
「あんたも疲れたでしょ。汗かいてるぞ」
立っている紅莉栖は少し屈み、手を差し出す。
その上にはハンドタオルが握られていた。
女性的な柄の入った洒落ているタオルだ。
少し考えてみたが、ラボに置いているタオルの中にそのようなものはなかったはずだ。
「それ、紅莉栖のか?」
「別に構わないわよ、それくらい。……つ、ついでに洗面所で顔も洗ってきたら?」
一瞬まごついたように見えたが、なんでもないように紅莉栖が提案してくる。
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