25: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:28:26.85 ID:fSt5IFCp0
「こっちの経験は無いから、接客とかは難しいと思うんだけど。私は何をすればいい?」
途端に変わる紅莉栖の強い言葉に、フェイリスは一瞬戸惑う表情を見せたがすぐに営業スマイルを取り戻す。
「じゃ、じゃあ店に入ってきたお客さんを席に案内する役をお願いするニャ! 今の時間帯はお客さんも多くないし、流れも教えるから安心してニャ♪」
「わかったわ。……だからごめん岡部、待っててくれる?」
トントン拍子に進む話に寸刻話についていけなかったが、ワンテンポ遅れて会話に参加する。
「すまなかったな。俺にできることはあるか?」
紅莉栖がやるというのに、俺だけのんびりするのも性に合わない。
そう言う俺を、フェイリスはまるで汲みしていたように即座に返事をする。
「じゃあキョーマも着替えた後、中で簡単な手伝いをお願いするニャ!」
「俺の分もあるのか……了解した。時間はどのくらい?」
店内にいる客は夕方の中途半端な時間帯ということもあり混み合ってはいなかった。
それにフェイリスの話しによれば来店する客もそう多くないらしい。
恐らくフェイリスはそれを見越してこの時間帯で少し制服姿で居てもらおうと予定していたのかもしれない。
「三十分くらいで大丈夫ニャ。お客さんにちょっとした新鮮味を与えたいぐらいのことなのニャ♪」
このことはホームページでも告知していないのだろう。
だが、こういった風変わりで唐突で、予告のない小さなイベントをすることで、マンネリ化するリピーター客に期待感と新鮮味を与えることができるのなら、店にとっては十分プラスとなる。
こういうことも含めて動いていたのだとしたら、流石フェイリスと言わざるを得ない。
感心しつつも、俺は席を立ったのであった。
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