9:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/27(月) 22:17:54.68 ID:y0UYjy3Z0
日菜子の云うとおり、確かに乃々にも同じことができました。
乃々が描いた言葉の全ては音の粒子になって明滅し、青空から降り注ぐ黄金の光によって励起され、淡い燐光になって漂いました。
溢れた文字はあたたかく、甘い香りのやさしい光子となって、乃々たちの居る夏雲に還ってきました。
空と雲のカンバスが、乃々の心象スケッチの一頁になったのです。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/27(月) 22:18:23.62 ID:y0UYjy3Z0
乃々が青空に描いた詩も、日菜子のスケッチも、目が覚めたら全部消えてしまうと思うと、なんだかやるせなく、むなしいような気持ちになってしまい、乃々はぼんやりと立ち止まってしまいました。
「日菜子さん」
「なんですかぁ、乃々ちゃん♪」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/27(月) 22:18:59.61 ID:y0UYjy3Z0
青空はだんだんと西の方に去ってゆきます。
遥か遠く、水平線より少し上に、煌々と燃える太陽が在りました。
空に、大気に、雲にまでも赤く灯をともして、夜に向かって進みます。
空のカンバスは秒ごとに色を変えていきます。
12: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2018/08/27(月) 22:20:22.99 ID:y0UYjy3Z0
私の幻燈はこれでおしまいであります。
喜多日菜子さんヴォイス実装おめでとうございます
森久保ォ誕生日おめでとう
13: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2018/08/27(月) 22:20:51.71 ID:y0UYjy3Z0
参考文献
宮沢賢治『やまなし』
宮沢賢治『春と修羅』
鷺沢文香『銀河図書館』
14:名無しNIPPER[sage]
2018/08/27(月) 23:01:37.83 ID:7BwJQTxno
良い短編だった
乙
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