乃々「ふわふわ」日菜子「むふふ」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/27(月) 22:18:23.62 ID:y0UYjy3Z0
 乃々が青空に描いた詩も、日菜子のスケッチも、目が覚めたら全部消えてしまうと思うと、なんだかやるせなく、むなしいような気持ちになってしまい、乃々はぼんやりと立ち止まってしまいました。

「日菜子さん」

「なんですかぁ、乃々ちゃん♪」

 日菜子は上機嫌で乃々の方を向きました。

「日菜子さんは、その……。どうして絵を描くんですか? これはきっと夢で、目を覚ますと全部消えてしまうのに」

 乃々は、もっと訊きたいことや伝えたいことがたくさんあったはずなのに、口から出た言葉は、想いの表面だけをなぞるような微妙な質問でした。

 日菜子は少しばかり考えて、乃々に向き直り、云いました。

「現実と妄想は、両輪です。現実があるから妄想ができて、妄想があるから日菜子たちは生きていけるんです。ここで描いた全部は、乃々ちゃんの心の中に保管されます。消えてしまうことはないんですよぉ〜」

「え、そうなんですか?」

「はい。もしも消えてしまったように思えても、それはちょっと思い出せないだけなんです。ちゃんと乃々ちゃんの中に在って、乃々ちゃんを通して現実世界に影響を与え続けます。だから、大丈夫ですよぉ〜。安心して目覚めてください。そして、またここに遊びに来てくれていいんですよ」

 乃々は日菜子の言葉に納得しました。
 むしろ、なんて当たり前のことを訊いてしまったんだと恥ずかしく思うくらいでした。



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