9:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/26(日) 00:46:40.78 ID:BsXQ9LjA0
正直、私は祖父が苦手だった。いつもむすっとしていて、典型的な昭和の頑固な男の人。祖母とは当時珍しい恋愛結婚だったらしいけど、祖母に何でもしてもらっていて、何かあるとすぐ祖母を呼びつけていた。その態度は祖母が亡くなった今もそれほど変わらず、祖母がたまに来る母に替わっただけだった。祖父といるときは、母が可哀想に感じたし、いつかその矛先が自分に向きやしないか、と気が気でなかった。母は少し愚痴る程度で、それほど気にしてはいないらしい。
祖父の家に着いた。案の定祖父は居間でどっしり座っていて、動きそうな様子はなかった。母が声をかけても「うん」と返すだけ。ため息が出そうになる。
私はスッとお仏壇の前に行き、お供え物を置いて手を合わせた。
遺影には綺麗な和服で着飾っている60歳くらいの時の写真が選ばれていた。髪は私と同じくらいの短さだけど色が抜けていて銀色だった。私は祖母の若いころの姿を知らないが、とても美人だったらしい。確かに、遺影にもその面影が滲んでいた。
しばらくその写真を眺めていた。なんでこんな美人があんな堅物オヤジと結婚したんだろう。私が9歳の時に祖母は亡くなっていて、当時の私は人間関係に疎かったからあんまり気にしたことがなかった。
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