智絵里「うさぎさんにチョップしたらタイムスリップしてしまいました」
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8: ◆vNoifR2vNc[saga]
2018/08/15(水) 11:37:16.26 ID:2c4OR7u90


しばらくして。女の子は、もっと年上――私と同世代くらいに見える――黒髪の女の子を連れて戻ってきました。


美琴「……お待たせして申し訳ありません。私は、小日向美琴と言います。こちらの……美柑の、従姉です」

智絵里「――!?美琴、さん……じゃあ、おばあさまのお名前は……」


玄関に出てきてくれた女の子は美柑というそうです。

美琴と名乗る女の子の名字に聞き覚えがあって、驚きっぱなしだったわたしも、ついに口を開いてしまいました。


美琴「はい。美穂、です。……よく、ご存知だと思います。智絵里さん」


美琴さんが言う言葉には、ある程度含みがありました。まるで、こちらを知っているかのような。

……でも、もう、あんまり驚いてばかりもいられませんから。目の前で起きたこと、言われたことを受け止めようと心に決めて、話を進めます。

聞けば、美琴さんのお母さんと美柑ちゃんのお父さんは兄弟で。ふたりは、美穂ちゃんの子供――ということで。


美琴「……なので、美柑が生まれたときは、長年の友人の孫が自分の孫になるなんて…と、それはとても喜んだそうです」


美琴―−さん、は、直接言いづらいのか、遠回しな表現をします。

わたしにそっくりの顔。美穂ちゃんの友人の孫。ということはやっぱり――


智絵里「じゃあ、美柑ちゃんはやっぱり、わたしの、孫……なんですね」

美琴「はい、そういうことになります。貴女が、同姓同名の別人でない限りは」


――わたしには、愛里という娘がいて、美穂ちゃんの息子さんと結ばれたのだということでした。


智絵里「そう……なんですね。美穂ちゃん……未来で親戚にまでなっちゃったんだ」


今でも一番の仲良しの美穂ちゃんが、親戚になっている。

その事実は、なぜか、自分のことのように嬉しかったです。……いえ、自分のことなんですけど、そうではなくって……


美琴「ほら、美柑もご挨拶をしなさい」

美柑「……こんにちは。美柑……です。よろしくお願いします……」

智絵里「はじめまして……なのかな?智絵里、です。本当に不思議だと思うけど……よろしくお願いします」


美琴さんに促されて、びくびくとした調子で初めての挨拶をする美柑ちゃんは、少し前までの私を見ているようで。

2世代も下なのにしっかりそんなところを継がせてしまっているところに、ぎゅっと胸が痛くなりました。

でも、だからこそ。わたしは、こういうときどうされたいか知っています。


美柑「……それで、このお姉さんが……智絵里おばあちゃん、なの?」


不思議そうな顔をして美琴さんに尋ねる美柑ちゃんは、まだ少し怯えているような感じでした。

わたしは少しでも安心してほしくて、美柑ちゃんににこやかに笑いかけました。




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