智絵里「うさぎさんにチョップしたらタイムスリップしてしまいました」
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◆vNoifR2vNc
[saga]
2018/08/15(水) 11:24:26.28 ID:2c4OR7u90
そして、わたしは香苗さんと名乗るその女性に、職務質問――もとい、ことの次第を説明することになりました。
名前は?――緒方、智絵里です。
年齢は?――16才です。
住所は?――どこでしょう。わかりません。
ここまで聞いて、香苗さんは怪訝な顔を一瞬見せ……少し真面目な顔になりました。
血液型は?――A型です。
職業は?――高校生で、アイドルも少しやってます。
所属は?――CGプロです。
……趣味は?――四葉のクローバー集めです。
……で、今何してたの?――うさぎさんにチョップしてた、だけです……。
香苗「……なるほどね。じゃあ、貴女は――あの伝説のアイドル、緒方智絵里本人ってことね。おばあ様から聞いてたプロフィールとも合ってるし……信じるしか、なさそうね」
香苗さんは、メモを取る手を止めると一人うなずきながらそう言いました。
智絵里「で、でんせつの……?かは、よくわかりませんが……信じてくれるんですか?」
香苗「ええ。……貴女が着ているその服、10年以上前に倒産したブランドのものよ。だから……正直夢を見ているみたいだけど、少なくとも、“この時代の人”じゃない。本人か、その幽霊か……そのどちらかは分からないけどね」
……さすが警察官さん、です。しっかりとした筋道を立てて考えているようです。
一方のわたしは、その言葉の気になる箇所に突っ込んでしまいました。
智絵里「わ、わたし、もう死んでるかもしれないんですか……?」
香苗「…分からないわ。でも、とりあえずあたしはこうして触れることができるから、その可能性は限りなく低いはずだけど」
死んでしまっていたら、元の世界へ帰るどころの話ではありません。
が、香苗さんは、私にボディチェックをするように触れながらやんわりと否定しました。
智絵里「そう、ですか……それなら、いいのかな……」
香苗「そうよ。不安がっても大体は物事は前に進まない。信じて進んでみて、ダメだったらその時考えればいいの。少なくとも今は……あたしが付いててあげるから。ね?」
香苗さんは、ウインクしながら、さらりとわたしへの協力を申し出てくれました。
あの早苗さんのお孫さん……心強い味方ができた気分でした。
智絵里「……!はいっ!ありがとうございます、香苗さん!」
香苗「……やっと笑ってくれたわね。確かに、動画で見たことのある緒方智絵里そのもの……貴女、もっと自信もっていいわよ。ものすごく可愛いんだから」
智絵里「え……あ、そんな、かわいい……なんて……。あの、ありがとうございます……」
香苗「……っ!貴女、本当に……!まあ、いいわ。さて、これからの方針を決めるわよ」
わたしの返事に満足そうな笑顔でわたしのことをほめてくれた香苗さんは、けれど、わたしの様子にちょっとたじろいで。
でも、気を取り直して話を進めていきます。
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