智絵里「うさぎさんにチョップしたらタイムスリップしてしまいました」
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◆vNoifR2vNc
[saga]
2018/08/15(水) 11:20:42.54 ID:2c4OR7u90
智絵里「う、うぅ、ぐす、うわぁぁぁん……」
それは、みんながよく似合うねと言ってくれた、お気に入りのワンピースに染みを作っていきます。
しかしそんなわたしに。突然の叫び声が届きました。
???「こらーっ!!そこのめちゃくちゃ可愛いファッションでばっちりツインテール結んでるのに、自信なさげで今にも泣き出しそうな貴女!!」
……それは、わたしのことなんでしょうか。
でも、藁にもすがるような想いで、涙を拭うこともせず、声の方に向き直ります。
???「あ、あれっ……本当に泣いてる……。それとも今ので……?ごめんなさいっ!!」
声の主は、わたしの顔を見ると、勢いよく頭を下げました。
…まぁ、せめて服だけはと思ってしていることを指摘されて、確かに傷つきましたけど。
わたしが口を開かないと顔を上げてくれなさそうなので、あの、大丈夫ですから、と声をかけてみます。
???「それなら問題ないわね!じゃああらためて!貴女、動物愛護法違反で逮捕しちゃうぞ!」
勢いよく顔を上げたその女性は、いきなりそんなことをわたしに宣言しました。
……でも、そんなことよりも。わたしは女性の顔に釘付けになります。
智絵里「えっ、あ、あの、早苗、さん……??」
その警察官と思しき女性は、わたしのよく知るアイドルのひとり。片桐早苗さんにそっくりでした。
もし早苗さんがここにいてくれたのなら、どれだけ心強いことでしょう。
???「あら、早苗はわたしの祖母の名前だけど、なんで知っているのかしら?貴女、もしかしておばあ様の知り合いのお孫さんとか、そんな感じ?」
不躾な質問をしたわたしですが、女性は意に介さないようで、むしろ興味津々という感じで聞き返してきます。
早苗は、祖母の名前……。ここにきてからずっとある考えが頭をよぎり、わたしは女性に確認をとりました。
智絵里「えっと、ごめんなさい、おばあ様の名前は……片桐早苗さん、ですか……?」
女性は右手の人差し指を立てながら教えてくれました。
???「そうよ!もうずいぶん昔だけど、ちょっとは有名なアイドルとしても活動しててね、あたしも誇らしいの!」
胸を張って語る女性の言葉に、わたしは確信してしまいました。
わたし――タイムスリップ、しちゃったんだ――
???「で、職務質問したいんだけど、今時間いいかしら?」
智絵里「えっと…いま、何時でしょうか…」
そう気づいた途端に体の震えが止まらなくなり。
にこりと笑う女性に、どうにかそう聞き返して。
あぁごめんなさいね、と女性が取り出したスマホ――のようなもの――には。
――2068年◯月×日と表示されていました。
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